新作能「水の輪」公演@山本能楽堂
雨降って地固まる。
恵みの雨。

雨の音が鳴り響く山本能楽堂前に「老松」が鎮座する。その横に平行に5羽の水鳥を並べる。海外から渡来した水鳥のイメージ。この空間から舞台作りがはじまる。もともと能舞台は屋外で上演されており、明治以降、舞台と観客席が一体となった建物での能楽堂が出来上がりました。奉納能や薪能などに代表される能は、どんな所でも上演可能でした。この「水の輪」に関しても、水辺を意識した空間で上演されるのが理想で、能楽堂での上演を想定していませんでした。しかし、この恵みの雨。どの様にして空間作りが出来るか見所の一つ。ちなみにこの「見所」は観客席という意味の能楽用語です。
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まず本舞台前の空間に水鳥を設置する事で、能楽堂入り口の老松との関係性を定義しました。能楽堂の場の力が強く、隙がない空間作りなので、水鳥のレイアウトが非常にむずかしい。4本の柱との境界線、特に目付柱を意識した配置をする事にする。

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支柱の目隠し
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水鳥に水を与える
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即興での空間作り。いい方向に向かっています。次に照明作り、と言っても能楽堂の照明は、舞台を均一に照らせる様に設計されており、その範囲の中で効果的に「水の輪」を表現する事を考えました。まず観客席と舞台との光の棲み分け、水鳥と舞台との境界線、スポットライトの再利用などなど、照明家の北浦さんが空間を意識した照明を作って下さる。

その後、観客席作り、受付作りを各ボランティアスタッフが忙しく動き回る。みなさん的確に行動する姿が素敵だ。これも能楽堂の場の力があるのでしょう!

その後、控え室で衣装を確認。みなさん素敵な笑顔で安心、本番に強い水鳥です。
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18:15 開場
降りしきる雨の中、たくさんの観客がご来場して下さりました。今回の目玉「当日パンフ」「歌詞カード」を見て下さい。約2000部作りましたが、あいにくの雨・・。是非、見て頂きたいのでこのブログで少し紹介しますね。かわいいでしょう!

平松大阪市長初め、たくさんの方々からお祝いの言葉を頂いています。及び、「水の輪」のあらすじを、日本語、英語、中国語、韓国語と4カ国語対応しており、充実したパンプレットになっています。歌詞カードもトムソン型で仕上げました。

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18:45 開演
舞台袖から影音が鳴り、水鳥に水を与えます。
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囃子方の絶妙な間
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都に住む男(ワキ)、棹サス女(前シテ)の下りがあり、船は静かに漕ぎ出します。
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棹の動きが美しい。
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そして水鳥(アイ)が飛んで来て、水の汚れを嘆きます。
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2F席から渡来した水鳥が飛んできました。この2F席からの演出は、章弘先生の演出です。アイとの掛け合い、そして絶妙の距離間、最高です。観客も大笑い。これこそ狂言の醍醐味ですね。英語、中国語、韓国語、フランス語が飛び交う言霊空間。もうカオス状態でした。
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ピー。なんでや なんでや なんでやねん。Yes we can! ウイ
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水鳥が淀川を掃除して再び美しい淀川が蘇り、水神が通る為の道を作りました。そして、龍神(後ツレ)、水神(後シテ)、猩々(後ツレ)が喜びの舞がはじまる。
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そして粛々と舞台が終演。
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なんとも美しい終わり方。この間が一番好きですね。残像と残音が心にこだまします。
最後に、章弘先生と外国人の出演者の方々のご挨拶で終了しました。
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正直ホッとしています。雨の中、色々考えた。悩んだ、苦しんだ。1日に別の舞台を3公演した感じです。脱力感と興奮状態が折り重なって、全てを見失いそうでした。440円の高級煙草を一服。ふー。

さあ、舞台のバラシと平行にご来場者の方々にご挨拶です。外務省の全権大使である田邊隆一さんから、海外公演のアドバイスを頂く、感謝。
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スタッフのみんなも静かに素早く撤収します。本当に感謝。
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今回、映像に精華映像出身の長良くんに依頼しました。彼の力量は計り知れないが、誠実さと瞬間的なアドリブに期待していましたが、想像以上にいい仕事ぶり。編集も楽しみです。ありがとう。

屋外で「老松」のバラシ。初の移動も含め、よくがんばりました。しっかり梱包して、次回の公演まで静かな眠りにつきます。
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いつもの積み込み。
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最後に能楽堂で打ち上げです。
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さあ、新しい船出です。大阪から生まれた水の輪はどこに向かうのでしょうか!?
皆様、お疲れさまでございます。

よー 老松!
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by shinta_inoue | 2010-10-03 23:59 | 水の輪(新作能)
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