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「electronic evening2010:電子音楽の夕べ」@法然院
音のリズムの事をよく考える。世界には色々なリズムがある。土地のリズム、言葉のリズム、そしてボクの大好きな祭のリズム。ボクはよく旅をします。その土地を知る為には、その土地の独特の音階やリズムを知る事が大切です。

ボクは20代の頃、ヨーロッパの劇場を中心にツアーをしながら演奏家として活動していました。夏は各都市で開催されているパーカッションフェスティバルや音楽フェスに参加して、世界各地のパーカッショニストと共演をしました。アフリカのリズム、東欧のリズム、ブラジルのリズムを覚え、そして、インドネシア、中国、韓国のリズムにもたくさん触れました。特に、インドネシアのガムランのリズム、音階に衝撃を受けた記憶があります。言葉では伝えられない伝達方法としてリズムはとても大切だと感じた青年時代。

世界のリズムに触れると、必然的に日本のリズムにも興味が出て来ます。日本各地でもテンポが違う和太鼓のリズムがあります。特に青森のねぶた祭りの「どーん こ どんどん、どーん こ どんどん」と沖縄のエイサーの「ドンーっドン」の2つのリズムを合わせるのは非常にむずかしい。青森は「後付き」リズム、沖縄は「前付き」リズム。それぞれの方言に近いリズム感があり、セッションすると息が合わないというか、微妙なリズム間の違いに驚かされます。 三線と三味線の違いにも似てますね。その他にも、秩父屋台囃子のリズム、三宅のリズム、江戸のリズム、北陸のリズム・・・。このように土地の持っている独自の伝統文化のリズムがあり、旅をする時は、この「リズム」を大切にコミュニケーションをとると楽しめます。

京都にも「祇園囃子」の独特のリズムがあり、独自の風土と文化が生んだ「京都音環境」があります。コンコンチキチン コンチキチン。

で、前置きが長くなったなー。昨日、京都・法然院で「electronic evening2010:電子音楽の夕べ」が開催されたので行きました。今回、会場の法然院は、幼少の頃、走り回ってよく遊んだ空間で、哲学の道、銀閣寺道周辺で「銀トカゲ」を捕まえていました。何だかなつかしい気持ちで会場に足を運ぶ。ここでも京都の独特のリズムと空間がありました、

会場には30分早くついたので白砂壇を見ながらうろうろ。12年前にここで羊を放牧した記憶が蘇る。インセンスショップのリスンさんが心地いい香りでおもてなし。夕涼みの匂いが法然院に漂う。あー夏の記憶の匂いです。夕立の後の独特な甘い匂いに似た感じ。会場に入るまでの動線・演出が素敵です。これが京都のリズムです。

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10分押しで会場がOPEN。受付を済ませ、お茶席のチケットを購入。枯山水を横目で見ながらライブ会場へ。廊下でご招待して下さった茶席のディレクター酒井千穂さんにお会いする。それにしても何とも言えない素敵な空間。茶席の灯と映像空間、渡り廊下のカラフルな灯、枯山水に池の映像を映し込む、全て音環境を感じながら客人をおもてなすセッティングになっています。気に入ったのは、北書院の空間構成。畳の上にゴロンとしながら音を聴くしつらえ。扇風機がいい演出になっている。

北書院のしつらえ
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御茶席のしつらえ
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廊下の光群
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枯山水
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さて、会場に入ると浄土庭園の美しさに驚かされる。そこにLEDの小さな光が無数にセッティングされている。ボクは縁側で庭園を見ながら音楽を聴く事にしました。この庭園は京の名水として名高い清水「善気水」が湧出しています。時より「ししおどし」の音色が聞こえます。これも京都のリズム

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ライブが静かに夕暮れと琴の音色ではじまる。 もう限界です。眠りそうです・・・。うとうとしながら琴とアンビエントな音がボクの空間を包み込む。Plan+eと琴奏者今西玲子さんのセッション。目を閉じながら旋律を追いかける、演奏が終わり目を開けるとそこは「宇宙」でした。秋虫の鳴き声がセミの鳴き声をレクイエム。

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この灯空間を演出したのは、灯道家の栗倉久達さん。見事な空間構成です。5分休憩後、宮城県在住のCoupieのユニッットによる演奏。何だか自給自足をしながら音楽活動をしているらしい!彼らの演奏は、静粛な農と人間の狂気を含んだ独特の音階リズムでした。もう完全に音を聴くというより、この宇宙音空間を感じる方にシフトしています。気持ちいいです。観客もそれぞれ好きな場所で時間を過ごしています。

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で、ここで少し場所を変えて茶席へ。今回のお菓子は、京菓子あずき処・宝泉堂さんが「電子音楽の調べ」の為に創作して頂いています。スタッフで成安出身の田辺真理ちゃんにもご挨拶。おいしい御抹茶とお菓子を頂きながら千穂ちゃんと談笑。

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千穂ちゃん
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その後、北書院で寝ながら「いろのみ」さんの演奏を聴く。ピアノとアコースティクギターとのユニット。これがよかった。ボクの音階とリズムに合って、脳の隙間に一音一音入って来る感じ。あー気持ちいいなー。と思いながら数分熟睡してしまう。拍手の音で目が覚める。あー寝てしまった。最後に「Firo」さんの演奏。サンプリング中心に音のかけらを積み重ね独特のリズムを構成していました。それにしてもウトウトしています。眠いよりも心地よすぎます。ボクが主宰する「羊を数えて眠る会」に通じる眠りを誘う空間でした。

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今回の来場者は、150人ぐらいかな!?なんとも贅沢な時間を提供して下さった涼音堂茶舗さんに感謝です。帰り際、北書院で琴奏者の今西玲子さんが静かに客人の帰りを見送る演出が素敵。
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帰り、ししおどしが「こーん」と素敵な音色を奏でる。
これが京都時間、京都リズムどす。
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by shinta_inoue | 2010-08-29 16:54 | 展覧会&ライブ